ハンドルについて

機関リポジトリでハンドルと言えば、CNRIが運営するHandle Systemというサービスの事です。

サービスの内容は、CNRIと契約してハンドルを使うと、通常は http://example-u.ac.jp/9999 のようなリポジトリのデータに対するURLが http://hdl.handle.net/9999/9999 のようなURLに変わるというものです。

このURLの変換を行うために、リポジトリ固有のURLをHandle Systemに登録してHandle System専用のURLをもらい、リポジトリシステムは画面にそのURLを表示します。

http://hdl.handle.net/9999/9999 というHandle SystemのURLにアクセスすると サーバは登録されているオリジナルのURLに移動するようにブラウザに応答します。

このサービスは、リポジトリのURLはシステム変更等があっても変化せず未来永劫同じURLで使えるべき、という事で提供されているらしく国内ではそれなりに使われています。

しかし、OpenEarmasでは今のところ対応する予定はありません。その理由は

世界で多く使われているeprintsは標準ではハンドルに対応していない。

国内のリポジトリではかなりの割合でハンドルが使われています。国内で多く利用されている初期のDSpaceではハンドルをつかうのが標準で使わないようにするのにカスタマイズが必要でした。しかもその頃はサービスの利用料が無料でしたので何も考えず流れで使われていたのではないかと思います。

国内ではDSpaceが多く使われていますが、海外で多く使われているeprintではhandleを使うほうが大変です。国内を見ればリポジトリではハンドルを使うのが普通という感じがしなくもないですが、世界的に見れば使って当然といったサービスではなく選択肢の一つという感じなのではと思います。

ドメインの価値

ハンドルを使ってしまうと、データのURLとして http://hdl.handle.net/9999/9999 のようなハンドルのURLを使うことになるのですが、そのURLはカッコイイでしょうか。個人的には http://ir.example-u.ac.jp/9999 のような機関のURLの方がカッコイイと思いますし、「ああ、機関リポジトリのデータとして登録されているんだ」という事が一目瞭然で良いと思っています。

hdl.handle.net のURLは契約すればもらえますが ir.example-u.ac.jp のような機関のURLは、その機関に所属していなければもらえません。どちらが価値が高いかは明らかで、わざわざお金を払って機関ドメインのURLから変更する理由は無いのではないでしょうか。

システム移行でもURLは変わらない

「システム移行等でURLか変わるといけない」ということでhandleなのですが、そもそもシステム移行でURLが変わることはほぼありません。 よほど独特なシステムを使っている場合は別ですが大抵の機関リポジトリシステムの場合、URLは

http://hostname.domain/any/9999

のような形になります。数字部分は内部のデータIDですので、データ移行時に工夫すれば移行後も同じ番号にする事は簡単です。 その他の部分についても、WebサーバでURLを書き換える等の方法でなんとでもなります。

実際に機関リポジトリでのURLが変わるのは、機関のドメインが変わる時くらいでシステム移行くらいではおこりません。そして機関のドメインが変わるような場合は、機関リポジトリが同じ形で運営出来るか分からないという状況では無いでしょうか。

Handle Systemの動向に左右される。

これが一番大きな理由です。大学にリポジトリへのアクセスは直接の場合もあるでしょうが大半はGoogleCinii等の検索サービス経由だと思います。そこではデータに対するURLとしてhandleのURLが使われていますので、もし Handle System がサービス停止した場合、現実的にはデータにアクセスできなくなります。

トラブルでの停止でもアクセスできなくなりますし、サービスの廃止、内容の変更、値上げ、など Handle System の動向に機関のサービスが左右されることになります。

アーカイブだから未来永劫同じURLで使えるようにするためのサービスの動向にアーカイバ左右される、というのはなにか本末転倒な気がします。

メリットも

使ったほうが良い理由もあります。ハンドルはそれ自体が世界で1つのIDとして考えることができるためDOIのようなデータを特定するための情報として扱われています。そのため、DOIやPMID等の情報と同じようにハンドルを指定してデータを特定するサービスもあり、今後そのようなサービスを使っていこうと考えているとすれば、ハンドルを使わない手はないと思います。


というわけで、最後にPRです。

弊社では Earmas で培った eprint d-space e-repository から移行の経験を生かし、OpenEarmasでもデータが揃えば最短で1週間という素早いデータ移行が可能です(ハンドルは使えませんが) そんな OpenEarmasのクラウド版 Earmas Cloud ( http://www.earmas.net/ ) をよろしくお願い致します。